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昨日久しぶりに映画に行きました。「ほとりの朔子」という映画です。朔子は「さくこ」と読みます。ナント三大陸映画祭2013でグランプリを取った映画ということです。ナント映画祭のことは何にも知らないので、グランプリの価値は判りませんが、ともかく前評判の高い映画でした。それで、昨日最終日の最終回を観に行きました。場所は渋谷のイメージフォーラムという小さな映画館で、64名定員の館内はほぼ満員でした。監督と出演した女優(主役ではない)が舞台挨拶をしました。主演は二階堂ふみという19歳の女優でした。去年大森南朋と舞台で「不道徳教育」に共演していました。二階堂ふみを観るのはその時以来です。大学受験に失敗した女子浪人生が、海辺の親戚の家で二週間を過ごし、多感な女の子が、大人と子供の「ほとり」から、大人の世界に入って行くというストリーだということで観に行きました。自分が予想していた筋書とは全く違っていました。単なる淡い恋の物語ではありませんでした。自分には何にもしたいことのない女の子が、一つ年下の「登校拒否」男子高校生との触れ合いの中で、一緒に大人の秘めたる世界を知り、大人たちの心の闇に触れ、そういうことを目撃することによって、平穏な中にも多くの刺激があり、みんな自らを鼓舞しながら生きているんだということを知り、社会にチャレンジする気持ちが生まれ、現実世界の中に戻って行くという話でした。秀逸な映画でした。もう一度観てみたい映画です。叔母さん役の鶴田真由が良かった。美しく有能な女を演じただけでなく、女の裏表を見事に演じていました。二階堂ふみも何もすることを持たない空虚な女の子が、不登校高校生の男の子(実は福島で大震災の被災体験がある)との心の触れ合いの中で、「生きていくこと」の大切さを感じて、自分自身が変革していく様子を上手く演じていました。素晴らしい演技力でした。そして、素晴らしい映画でした。ひと夏の体験を描いた映画は、古今東西を問わず多くの作品があります。みんな「胸キュン」の映画でした。この映画もそうですが、でも今までの「胸キュン」とは違いました。一人の女の子が蘇生していく様が見事に描かれていました。感動しました。妻と一緒に観に行く予定でしたが、突然の小雪のために私一人での鑑賞となりました。妻に素晴らしい映画であったことを、ひたすら語ってあげました。この後、横浜(ジャック&ベテイ)で公開して、それから全国で公開するはずです。
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