Re:1段だけれど2段鍵盤?
投稿者:管理人
投稿日:2017年07月10日 16:01:19 No.507002 |
I P:222.5.201.166 |
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低音側 : 8', 4' 高音側 : 8', 8' (celeste)
この手のストップ構成の古い小型リードオルガンは結構見かけます。
一段鍵盤で左手 (低音側) 右手 (高音側) のレジストレーションを違えて恰も二段鍵盤のような効果を得る使用法は、学校音楽教育楽器の地位に終始した日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、そもそもリード列を鍵盤中央近くで低音側/高音側に分割するという発想が、二段鍵盤効果を意図したものであることを理解する必要があります。
この発想の原点となったのは間違いなくイタリア古典オルガン (パイプオルガン) であると思われます。19世紀前半、イタリア全土で散発的に繰り返されるイタリア統一戦争の戦禍を嫌って国外に活躍の場を求めたイタリアのオルガン製作者達の中の誰かが、ハーモニウムの楽器標準規格を確立したフランスの楽器製作者ドゥバンもしくは彼に近い人物と交流した結果が、イタリアのオルガンでよくある1段鍵盤にして2段鍵盤効果の構成を新しい鍵盤楽器ハーモニウムに採用することであったと推察されます。
ヤマハ11ストップ・リードオルガンの低音側に Eolian Harp 2' が据えられているのがその名残でしょう。 このストップは本来、高音側の 16' ストップとセットで使われるべきものなのですが、不幸にも日本ではリードオルガンで二段鍵盤効果を発揮させるような演奏法が探求されなかったために、深く考えることもなく低音側に高級機の証として形骸的にこのストップが残されたものと思われます。
さて件の低音側 : 8' + 4'、高音側: 8' + 8' の使い方ですが、 1.低音側 : 8' / 高音側 : 8' + 8' (連続) 2.低音側 : 4' / 高音側 : 8' + 8' (同音域の二段鍵盤効果) の二通りの使い方があると思います。
特に2の使い方に関しては仰る通り、どこでリード列が分割されているのか事前にキチンと把握しておく必要はありますね。 結局日本では、1段鍵盤で二段鍵盤効果が必要となるような高度な奏法が探求されなかったことが、このような楽器を異端視することになったのでしょう。
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